薬局マネジメント

薬局マネジメント

薬剤師による委員会組織を通じた質向上への取り組み

守山大永寺薬局 薬局長 櫻本良子氏/岐南薬局 薬局長 赤堀一仁氏/
薬事部 宮崎 剛氏/正木薬局 薬局長 中村 哲氏


岐阜県、愛知県、三重県、石川県、富山県、福井県下にドラッグストア及び保険調剤薬局全167店舗を展開する中部薬品では、薬局全体及び薬剤師の質向上に向け、薬剤師が中心となった「資質向上委員会」、「安全管理委員会」、「後発品選定委員会」、「サービス向上委員会」、「調剤業務改善委員会」の5つの委員会を発足。今年の11月には学術発表会として金城学院大学薬学部の教授らを招き、それぞれの委員会が発表を行うという、日々の活動の集大成ともなる一大イベントが控えています。現在は通常の業務に加え、その準備に大忙しのようです。学術発表会では、金城学院大学薬学部教授5名及び中部薬品社員(保険調剤に携わる薬剤師)、薬学生10名が参加の予定で、発表の後、教授から論評と今後のアドバイスを頂きます。

各委員会の取り組みについて、各委員会のリーダーにお話を伺いました。

資質向上委員会

リーダー 守山大永寺薬局 薬局長 櫻本良子氏

櫻本氏がリーダーを務める資質向上委員会は、薬剤師の質を高める目的で設立、運営されています。委員会が定めた最低限のレベルに全員が達することを目指し、薬剤師として必要とされる能力を高めるための取り組みが行われています。

例えば、個々のレベルを把握する目的から、ケーススタディとして調剤の場面で「自分だったらどう考えるか」、「どう調剤するか」といった、“考えさせる”問題を出題。「集められた解答は全薬局にフィードバックしており、他の人の考え方を知ることにより自分のレベルを確認してもらっている」と櫻本氏は話します。

同社における薬剤師の社内研修は、「知識の向上」、「技能の向上」、「態度(コミュニケーション)の向上」の3つで構成されていますが、そのうちの「知識」に関しては業務を通じてOJTとして習得し、「技能」については日々の現場での経験から学んでいます。そうしたことから、「態度(コミュニケーション)」の部分に重点を置くとして本委員会としての道筋ができました。 今後は、「自分で処方せんを作ってみる」というのが目標のレベルとのこと。そうしたことで処方動機が分かり、調剤についての理解がより深まるからです。

また、現在の薬学系の学生がどのようなことを学んでいるかを探るべく、名城大学に足を運び、見学をさせてもらっているとのこと。そこから自分たちに欠けているものを見出し、学習の方向やポイントなどの参考にしているといいます。

安全管理委員会

リーダー 岐南薬局 薬局長 赤堀一仁氏

中部薬品では、調剤過誤のみならずヒヤリハットの事例を報告する目的で、各店舗は月に1回事例書を提出しています。安全管理委員会は、そうした事例書を評価する組織として誕生したという経緯があります。「本来、過誤についてはもちろんのこと、ヒヤリとした内容においても伝えるべきであり、そうした情報を共有することが未然に防ぐことにつながると考えている」と赤堀氏は話します。

報告される事項は、薬の間違いはもちろんのこと、会計の間違いや処方せんの記載ミスなど、患者さんに迷惑のかかるすべてのことがその対象です。ヒヤリハットについては、「何が原因で起こってしまったのか」といった検証や、事前の対策がうまくいくことで未然に防げた事例についても委員会で検証し、各店舗にフィードバックしているとのことです。

後発品選定委員会

リーダー 岐南薬局 薬局長 赤堀一仁氏(安全管理委員会兼任)

中部薬品で使用する後発品は、全店舗での使用実績を調査し、その使用実績の多いものをピックアップし絞り込んでいるといいます。その理由には、「在庫負担の軽減」ともう一つ、ブランドを絞り込むことによる「情報提供のしやすさ」が挙げられます。また、後発品を患者さんに安心して使用してもらうための情報提供の資料は、メーカーから提供される資料を参考に、自社内で独自に作成した資料を用いて説明を行っています。(赤堀氏)

調剤業務改善委員会

リーダー 薬事部 宮崎 剛氏

調剤業務改善委員会は、電子薬歴の導入に尽力し成果をあげていた「ITプロジェクト」を引き継いだ形で誕生。委員会発足後の現在は、「電子薬歴による患者さんのサービス向上」を課題に取り組んでいます。

また、在庫管理システムの改良も行っているとのこと。これまでは全店の薬局長がレセコンから在庫のデータを抽出して本社に報告する、といった方法で行われていましたが、薬局長によりITの知識や経験などに差があることから、作業の手間を省いて簡単に行え、かつ錠剤数の数え間違いや数え忘れのないようなシステムへと改良の取り組みが始められたそうです。「今後は、『全体量として何錠出たので何錠発注する』のではなく、『どの患者さんに何錠出たので何錠発注する』というところまで落とし込んだ自動発注ができるレベルまで改良を加えることが目標」と宮崎氏は話します。

薬剤師の枠を超え、SE顔負けのハイレベルなシステム構築の取り組みを行っている宮崎氏。今後、いかに後輩薬剤師に伝えていくかを課題と考えています。

サービス向上委員会

リーダー 正木薬局 薬局長 中村 哲氏

サービス向上委員会では、「様々な地域にわたる全167の店舗がそれぞれ、地域に根ざした独自のサービスを行っている」というところに着目し、そうした情報を共有する取り組みを行っています。(中村氏)小児科の処方せんの多い、ある薬局で使用されている「薬が飲みやすくなるツール(薬が飲みやすくなるドリンクの紹介の冊子)」を、内科の近隣で高齢者の患者さんが多い薬局で取り入れ、お薬手帳に添付して提供するなど、店舗独自の工夫による取り組みを共有しています。

また、既存の店舗のみならず、今後新設の薬局の環境を考えるのもこの委員会の重要な役割。医療機関との関連だけでなく、地域住民の利便性を考え「この場所に薬局があったら理想」という患者さんの気持ちに応える店舗開発にも力を入れています。

薬剤師による委員会組織を通じた取り組みが特徴的な中部薬品。「委員会の結成」から「薬剤師による学術発表の開催」、とさらにレベルの高いものへとステップアップしていくことは、薬剤師の意識向上、さらには薬局全体の質の向上へとつながっているようです。

11月に開催予定の学術発表会では、5つの委員会の代表者がそれぞれ15分で発表を行います。

中部薬品学術発表会

日時:11月22日(土)15:00~17:30
場所:金城学院大学薬学部 教室
論評頂く教授陣
金城学院大学・薬学部長:片山教授、同大学:中尾教授、林教授、鈴木教授、網岡教授の計5名。
なお、一般の方の参加は、事前の連絡があれば可能。
(連絡先:中部薬品株式会社 薬事部  TEL:0572-27-3911)


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