Serendip Pharmacy & Pharmacist

豆知識


■ 2007/05/16

介護保険と薬剤師(その1):
療養病床と在宅医療の関連性-入院から在宅へ-

調剤薬局に勤務する薬剤師の方々の中にも、ケアマネジャーの資格を取った方、在宅訪問薬剤管理指導を行っている方もいらっしゃると思います。
 介護保険の世界は、医療と密接に関連しています。医療制度改革の影響は医療にとどまらず、介護の世界にも影響を与えることは必至です。今回は在宅患者の動向にも大きな影響を与える療養病床の変化について述べてみたいと思います。

療養病床は、1992年の第2次医療法改正時に「療養型病床群」として登場しました。2000年の介護保険発足時に介護保険適用のタイプが加わり、01年の第4次医療法改正で「療養病床」と名称を変更するといった経緯をたどり、05年現在、医療保険適用25万床、介護保険適用13万床、計38万床となりました。
 そして05年末に「医療制度改革大綱」が示され、療養病床削減の方向が打ち出されました。今年6月に成立した医療制度改革関連法では、介護保険適用療養病床の11年度末での廃止が決定、存続は医療保険適用のうちの15万床のみとされました。
 加えて今年度の診療報酬改定では、医療保険適用の療養病床についても大幅な点数カットが行なわれました。医療の必要性とADL(Activity of Daily Living:日常生活動作)の状況によって患者を区分し、状態が軽度で退院可能とみなされる患者の入院点数(療養病棟の入院基本料)が大幅に引き下げられました(7月から実施)。さらに10月からは、この軽度に区分され、かつ70歳以上である患者については、入院中の食費等が自己負担となりました。

これらの一連の措置により、療養病床に入院中の患者の在宅シフトが進むと予想されます。病院から退院した患者が在宅生活を送ることができるかどうかは、次の2つの要素に左右されるところが大きいとされています。
 ひとつは食事・栄養指導です。在宅生活では、食事(栄養)の摂取不足、偏食などにより体調を崩し、再入院するケースも少なくありません。近年、栄養サポートチーム(NST:Nutrition Support Team)の活動が重視されるようになっています。
 もうひとつが、薬剤管理です。在宅ではコンプライアンスが低下しがちで、処方医の期待通りの薬物療法の効果が出ないことも多々あるようです。
 このように、在宅患者が増加する中で、栄養指導、薬剤管理の重要性はますます増してくることが予想されます  薬剤師による訪問薬剤管理も、その社会的役割は高くなると思われます。

著者:(株) イニシア 代表取締役 田原 一(薬剤師)

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