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トピックス

院内薬剤部門と調剤薬局の連携をどう進めるか
鹿角組合病院 薬剤長 田村 亘 氏
北秋調剤薬局 薬局長 高橋 茂 氏
秋田県は、院外処方せんの発行率が7割を超え全国トップレベルにあります。院外処方が増えれば、院内の薬剤部門と調剤薬局との連携も必要になってきます。鹿角組合病院・薬剤長の田村亘氏と北秋調剤薬局・薬局長の高橋茂氏に、薬剤部門と調剤薬局との連携についてお聞きました。
――秋田県では、県の薬剤師会から調剤薬局に対して、病院の採用薬についての情報が提供されていると聞きましたが。
高橋氏 病院ごとの採用薬に関する情報が、県内すべての調剤薬局にFAXで届きます。県内全域に送られるものと、地域ごとに送られるものとの2種類があります。
田村氏 調剤作業をスムーズに進めてもらい、患者さんをお待たせしないことが目的で、病院の薬剤部門と調剤薬局との連携のひとつの例と捉えていいと思います。Aという薬を何月何日から処方しますとか、Bという薬の処方を何月何日で中止しますとか、そういう内容のものです。薬剤師会を通じての情報提供が基本ですが、スタッフに余裕のある病院では直接調剤薬局にFAXを入れています。
高橋氏 都道府県の薬剤師会には、緊急医薬品情報などを調剤薬局に流す仕組みがありますから、それを利用すればどこでも同じようなことができると思います。
病院としては調剤ミスの背景が知りたい
――病院と調剤薬局との間で、情報交換の場を設けたりとか、勉強会を開いたりしたことはありますか。
田村氏 定期的な情報交換の場というのはありませんが、テーマによっては病院の薬剤師で作る研究会に薬局の薬剤師の方にも参加してもらっています。今後は、共通のテーマで病院の薬剤師と薬局の薬剤師が共に参加する研究会を、ぜひ立ち上げたいと思っています。テーマとしては、リスク管理などはどうでしょうか。病院でも、調剤薬局でも、リスク管理については、さまざまな取り組みをしているかと思いますが、それが外部にはなかなか伝わってきません。処方せんを出す側として、どのような点に注意を払えばいいのか、病院の薬剤師としてはぜひとも知りたいところです。薬を間違えて作ったとか、渡したとかという場合に、その背景に何があったのか。病院として改善すべき点はあるのかということです。例えば、似たような名前のものを多く採用しているとか、規格が多く混乱するということであれば、採用薬を絞り込なればいけない。実はそういう声は院内にもあるのですが、それが外から聞こえてくれば取り上げられやすくなります。
高橋氏 調剤薬局では、同じ薬でも普段あまり使っていないミリ数のものを指定された際に、ミスが起こりがちです。例えば、ある病院ではAという薬をいつも10ミリグラム処方してくるとします。他の病院からAを5ミリグラムという処方してきても、いつもの習慣で10ミリグラムのものを出してしまうということがあります。
田村氏 病院としては、そういう話がとても参考になるんです。
高橋氏 処方ミスがあった場合には、病院へ出向いて医師に報告と謝罪を行っていますが、薬剤師の方に伝わっていなのは、やはり全体の問題として捉えられていないのかもしれませんね。
田村氏 安全管理委員会には薬剤部門からも参加しているので、院外処方でこんな事故が何件起きているという報告があれば、処方せんの表記の改善とか、薬の種類の削減とか、何らかの改善策が取れるのではないかと思います。
調剤薬局の方からは、病名を処方せんに書けないかとの要望がありますが、それはいろいろな問題があって書けないと説明しています。要は、患者さんについての情報がもう少しほしいということでしょうから、その方が同じ薬を服用して副作用があったとか、何らかのアレルギーがあったかとか、そういう情報は何らかの形で提供したいと思っています。
高橋氏 患者さんの了解が取れれば別ですが、個人情報ですから調剤薬局への提供はなかなか難しいですよね。
患者情報の提供に「お薬手帳」の活用を
――県薬剤師会では、「お薬手帳」の普及に力を入れていますね。
高橋氏 「お薬手帳」には、服用する薬の用法・用量や効能について説明のほか、いつ、どこで、どんな薬を処方されたかが記入されています。つまり、それを見れば患者さんの薬歴が分かるということです。また、病院が患者さんについての情報を記入する欄もあります。県薬剤師会では、「お薬手帳」の普及を図るため、基幹病院を通じて無償で配布しています。
田村氏 私を含め多くの病院関係者は、「お薬手帳」は病院と調剤薬局の情報共有の手段だと考えていますが、その普及はなかなか進んでいません。なぜ伸びないのかというと、患者指導文書を作成した際の診療点数が350点なのに対して、退院指導の際の「お薬手帳」は50点に過ぎないからです。その点を改善すれば、もっと利用が進むのではないかと思います。
――調剤薬局から病院に対する要望は何かありますか。
高橋氏 病院で、どのような服薬指導をしているのか、ぜひ教えて頂きたいですね。疾患ごとにどんな服薬指導をしているのかを、病院から教えてもらえれば助かります。医師も参加して、年に1、2回でもいいので、勉強会を開いてもらえないでしようか。病院と薬局で違うことを言ったのでは、患者さんからの信頼をなくしてしまいます。一番難しいのが、抗がん剤を処方する場合です。ある患者さんには抗がん剤であることを説明しても構わないが、別な患者さんには絶対に伏せておかなければならないというあるので、個々の患者さんごとに病院に問い合わせるしかありません。
勉強会などの機会を設け、薬局と病院の薬剤師が情報交換をすることは、とても大事なことだと思います。そこでの内容はもちろんですが、何よりも直接顔を会わせることの意味は大きいと思います。一度も会ったことがない人に、電話でいろいろなことを質問するのは、なかなか難しい面もあります。薬局と病院の薬剤師が連携を成功させるためには、お互いの信頼関係をどう築いていくかが大きな鍵になります。そのためにも、直接顔を会わせる機会を作ることが大事なのです。
