Serendip Pharmacy & Pharmacist

トピックス

ファーマシーフォーラム2007
「認知症を正しく理解しよう」(市民公開講座)


 11月10日、神戸で「ファーマシーフォーラム2007」市民公開講座が開催されました。

第1部は「認知症を正しく理解しよう」でした。座長は日本認知症学会理事 大阪市立大学大学院脳神経科学教授 森啓先生が務め、演者は日本認知症学会理事長 井原康夫先生、松下記念病院神経内科部長 森敏先生のお2人でした。

まず司会の日本大学薬学部 井手口直子先生から各先生の紹介があり、その後森啓先生から、本日は認知症についての一般の方々からの疑問にお答えいただく旨の説明がありました。以下が当日の主なQ&Aです。

Q)認知症とはどのような病気なのでしょうか?

成人になってから起こる、記憶と判断の障害により、社会生活が障害された状態を認知症と呼んでいます。原因によってアルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症に分けられます。

Q)物忘れと認知症は違うのでしょうか?

記憶の帯の中の一部分が欠けてしまうのが良性の健忘ですが、これに対し悪性の健忘である認知症は、記憶帯のなかのひとかたまりがそのまますっぽり抜け落ちてしまうということです。認知症の物忘れは激しく、具体例で言うと、どんな内容のご飯を食べたかを忘れるという程度ではなく、ご飯を食べたことそのものを忘れてしまいます。

Q)アルツハイマー病が増えてきたのはなぜでしょうか?

臨床的には65歳以上の人の5~7%が認知症と言われてきましたが、最近の調査(鳥取、茨城)では、65歳以上の人の約10%が認知症という結果が出て驚いています。その約7割がアルツハイマー型認知症です。この原因には寿命の伸び、そして食生活の変化などが考えられます。

Q)どのようになれば病院に行けばよいのでしょうか?

認知症には「自分が病気だという病識」がありませんので、1人で来院する人には認知症はいないと思っています。もっとも典型的な症状は「何度も同じことを訊ねる」ことです。「物忘れ外来」をやっている専門の医療機関に受診するのがよいと思います。

Q)病院では、どんな検査をしていただけるのでしょうか?

1つ目が認知症かどうかの鑑別です。2つ目がMMSというテストを用いたスクリーニングです。3つ目が脳血管シンチを使ったタイプの判別です。

Q)お薬について教えてください

脳内のアセチルコリンを増やす作用のある「ドネペジル」(「アリセプト」)が使われます。

Q)高齢者の患者と暮らしている家族にアドバイスをください

前述の「くすり」、そして「ケア」、「介護保険」の3つの要素がうまく組み合わさって提供できることが望ましいといえます。

Q)どうしてアルツハイマー病になるのでしょうか?

加齢とともに、第1期として脳に老人斑と呼ばれるアミロイドが蓄積されていきますが、これだけではアルツハイマー型認知症にはなりません。第2期として「タウ」という物質がたまることで神経細胞がなくなり、アルツハイマー型認知症を引き起こすと考えられています。

Q)酒、タバコの影響はどうでしょうか?

タバコを吸う人はアルツハイマー型認知症になりにくいと言われていましたが、アルツハイマー型認知症になる前に肺がんで亡くなっていることがわかりました(笑)。アルツハイマー型認知症になりやすさと飲酒の関係では、お酒を飲まない人を1とすると、ビール、ウィスキーは1.5程度、ワインは0.55という報告があります。特に抗酸化物質のポリフェノールを含む赤ワインがいいようです。

Q)予防になるサプリメントや食品を教えてください

背の青い魚はDHAやEPAを多く含み、これは良いようです。最近はカレーに含まれる「クルクミン」もいいと言われます。高コレステロール食は良くありません。外を早足で歩く運動や、人との接触のある社会活動も良いと言われます。

植物から抗酸化物質をとることはお勧めできます。色の濃い野菜にはベータカロテンやアントシアニンを含みます。サプリメントの効果についてのデータはまちまちです。

以上のように、一般市民の皆さんから事前に寄せられた質問に、両先生からわかりやすく、また時にはユーモアに富んだ回答があり、会場は熱気に包まれました。

最後に、司会の井手口先生から「認知症患者さんのために薬剤師ができることは?」という質問に対し、両先生から「認知症高齢者は地域にいる。薬局の薬剤師がその患者さんともっとも近い位置にいるので、認知症に対しても正しい知識を持ち、患者さんや家族をサポートしてください」という、薬剤師へのエールがありました。

▲ページ上部へ