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イブニングセミナー
「薬剤師がかかわる在宅医療~「在宅療養支援薬剤師」という薬局薬剤師の新たなる専門性~」
8月30日に開催されたイブニングセミナーでは、平井みどり氏(神戸大学教授医学部附属病院薬剤部長)を座長に、狭間研至氏(ファルメディコ株式会社代表取締役/医学博士)により『薬剤師がかかわる在宅医療~「在宅療養支援薬剤師」という薬局薬剤師の新たなる専門性~』と題した講演が行われました。
医師であり、薬局経営者である狭間氏は、「日本の医療は転換期を迎えている」として、現在の日本は、“少子高齢化社会への急速な移行”、“国民皆保険制度の堅持”といった社会的トレンドがあり、医療業界においては「医療機関から在宅・介護施設へ」という大きな流れがあることを示しました。調剤報酬の切り下げや薬価差益の減少などで経営環境が厳しくなる中、「在宅」への取り組みは必須であり、薬剤師の求人対策としても薬局の在宅への取り組みは今後欠かせなくなるのではないか、と狭間氏は指摘します。こうした在宅への流れに薬剤師が関わっていく意義が大きい理由として、下記の3つを挙げています。
1.在宅医療とは薬剤治療である
現在、在宅医療を受けている人は6万5千人。狭間氏は、そのうちの85.3%が高齢者であるという実情を紹介し、また、療養病床の編成により今後、介護施設や在宅の需用がさらに大きくなることを示しました。
介護施設の入居者の大多数は慢性疾患を持つ慢性期患者であり、医療を必要としています。しかし、介護における医療が基本的には薬物治療であるにも関わらず、医師がこうした施設を訪問する回数は少なく、介護施設のスタッフの大部分も医療に関する知識が乏しいため、きちんとした薬物治療が行われていないのが実情です。さらに、患者が医師の処方せん通りに服薬できていない例が多いといいます。患者さん自身も身体的障害や認知症などにより薬の飲み忘れも多いことから服薬コンプライアンスが保ちにくく、また肝腎機能の低下により副作用に注意が必要であることなどから、より濃密なファーマシューティカルケアが必要であると狭間氏は指摘しています。
また、介護付き有料老人ホームでの医師の回診に薬剤師が同行している例を挙げ、今後はカウンターでの服薬指導のみならず、こうした形で薬剤師が在宅医療に関わっていくことが必要であると紹介しました。
2.新しい薬剤師のキャリアパスが必要である
狭間氏は、近年調剤薬局が第2の柱としての事業を開拓している例が増えていることを紹介し、「保険調剤薬局」が現在転換期を迎えていることを示しました。従来の保険調剤業務は医療インフラとして堅持した上で在宅・介護施設での医療のサポートなどに取り組んでいくことが求められ、そうした中で薬剤師が新しいキャリアパスを持つことが必要となると狭間氏は指摘しました。
3.薬局ビジネスが次のステップにうつりつつある
狭間氏は、「立地最優先」であるいわゆる門前薬局が成長期を終え成熟期へ向かうことを示唆し、今後は「人材最優先」の在宅医療へとビジネスモデルが変わっていくことを示しました。
保険薬局は、街の医療雑貨店のような“第一世代薬局”、処方せん調剤を主業務とする“第二世代薬局”を経て、処方せん調剤・介護支援・補完代替医療を提供する“第三世代薬局”へと変遷してきました。保険薬局で働く薬剤師の職域・職能の拡充には、「調剤師」からの真の脱却が必要であり、それは薬局薬剤師の将来を作ることにつながるといいます。在宅医療への介入は、薬剤師にとっても大きな意義があるといいます。また、現在5万2千軒を数える薬局が「在宅医療」への取り組みに向かうことは、医療崩壊をくいとめる手段の一つとしてのパワーを秘めていると話し、期待を寄せました。
保険薬局に「在宅療養支援」の役割が求められていることにより、「在宅療養支援薬剤師」の育成が重要になるといいます。薬剤師が専門性を持ち、介護現場・在宅医療へ積極的に参画していくことは、新しい薬剤師のあり方を切り開くきっかけになるとしています。狭間氏は、「これからの日本の医療は、薬局薬剤師がどのように変わるかにかかっている」と話し、薬剤師が日本の医療を変えるきっかけともなる大きなアクションを起こすことを期待しています。
会場で講演を受講していた薬剤師からは、「狭間先生の講演はとても参考になり、背中を押された」との声が挙がり、大盛況のうちに終了しました。
