New Movement for Pharmacy
Serendip Pharmacy & Pharmacist
教 育
これからの薬剤師に必要とされる能力とは
-ネオフィスト研究所 所長 吉岡ゆうこ様
薬剤師教育の環境が大きく変り始めています。その大きな要因が、「薬学教育6年制」です。「最近の薬剤師は質的にレベルが相当あがっています。大学も教え方を色々と研究し、学生も一生懸命勉強してきています」と評価するネオィスト研究所 吉岡ゆうこ所長に、薬剤師に求められる能力についてお話をうかがいました。
2012年頃までに大きく変化する薬剤師の環境
2006年度の入学生から薬学教育が6年制になりました。この年代が卒業する2012年頃には、薬剤師を取り巻く環境が大きく変化していると見込まれます。
今後6年の間に、第6次医療法改正が実施され、その法改正で、薬剤師に関する何らかの更新制が実現するのではないかと囁かれています。その流れに沿って、現在、薬剤師研修が重要視され、認定薬剤師制度をしっかりと行っていこうという意向が強くなっています。薬局経営サイドでも、薬剤師手当を「認定」薬剤師手当に変更しようというところもあります。
また、このような環境変化に適応するため、大学側も教え方を色々と研究するようになっています。患者との接遇や調剤は、大学卒業時点できちんとできるようになっていて当たり前、という状況になるほか、大学の実習室に心電図などの機器を設置し、病棟薬剤師養成を目指す大学もあります。
今年の国家試験合格者は約8,000人、今年の薬学部入学者は約14,000人です。今後は薬剤師過剰時代も想定されますので、薬剤師は一生懸命勉強して、自らの質を高めていかなければならなくなってきます。
さらに、インターネット社会が進展し、電子薬歴などの活用も当たり前になってきます。インターネット化・電子化への対応も必要となってきます。
新たな薬局の経営形態づくりへ
医療費適正化対策が進展し、将来、急性期病院数は2,000施設以下になってくると見込まれています。地域連携体制が構築されると、いわゆる「門前薬局」はどうなるのかという問題も生じてきます。
「在宅」への取り組みも重要です。機能連携促進により、薬剤師による在宅患者のフォローの必要性が高まります。すでに一部の地域の薬局では、介護施設への在宅サービスを積極的に進めています。
2012年には療養病床は15万床に絞り込まれ、これらの病院が老人保健施設、有料老人ホームやケアハウスなどに転換していきます。このような施設の増加の動向により、薬局の運営も変ってくるでしょう。
もう一つの動きとして、06年改定で調剤報酬収入の減少傾向が強まってきている一方、スーパーやドラッグストアの調剤コーナー開設は進んでいます。また、調剤薬局チェーンとドラッグストアチェーンの提携なども今後はあるのではないでしょうか。今後、薬局の経営形態は新たな形へと動いていくことも考えられます。
コミュニケーション能力が求められる薬剤師
これからの薬剤師に求められる能力は、「薬歴」がSOAPできちんと書け、薬歴に基づいた服薬指導ができることだと思います。
ネオフィスト研究所では、薬剤師教育において、「知識・技術・やる気」の3要素の修得が大切と訴えています。知識では「疾患の知識」と「治療薬の知識」、技術では「薬剤師の5技能」として「読む・書く・訊く/聴く・話す・問題解決能」、後は薬剤師の「やる気」という気持ち面です。
これら3つの要素をクリアすることで、実践の場では、患者とのコミュニケーション能力がアップしてきます。コミュニケーション能力が高いと、より詳細な患者情報の収集が可能となり、アセスメント能力がアップします。そして患者のよりよい服薬支援へとつながっていきます。
薬剤師と患者の間にコミュニケーションギャップが生じる場合もあります。例えば、朝食を摂っていない患者さんが「朝は食べないんです。」と話し、それを聞いた薬剤師が「朝食は食べていらっしゃらないのですか?(批判的、詰問的質問)」と訊ねてしまうケースなどです。
これまでは、「何番の患者さん」と薬をつくって渡すだけでよかったのですが、今は、薬剤師が患者に面接して、薬歴をつくり、情報提供、服薬支援をしていかなければなりません。そうしなければ、報酬もついてきません。
今後、薬剤師には、調剤業務中心から、患者との関わりをより深めていくための能力が求められてくる傾向がますます強くなっていくでしょう。
