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教 育

投薬を巡る医療事故について
第1回 リスクマネジメントにはコミュニケーションが重要

-医療教育研究所 佐藤仁人 先生


 投薬を巡る医療事故に詳しい医療教育研究所の佐藤仁人先生に、薬剤師のためのリスクマネジメントについて、お話を伺いました。その内容を3回に分けて掲載します。

このシリーズでは、調剤過誤の防止のみならず、安全管理の基本について、お話ししようと思っています。

保険薬局の薬剤師は、調剤過誤などリスクマネジメントが必要な状況に、常に置かれています。調剤過誤は、業務上の過失があった場合、刑事事件として、業務上過失致傷(致死)にあたり、裁判になる可能性もあります。よく刑事訴訟と民事訴訟を混同しがちですが、調剤過誤の場合、殆どが民事訴訟です。

保険薬局では、訴えられたら抗弁のしようがないのが実情です。なぜなら調剤過誤の殆どがオーバードーズや薬の間違いなどが訴えられる原因であり、100%薬剤師のミスであることが明らかであることが多いからです。ですから訴えられても、大部分は和解ということになり、判決まで到ることはほとんどありません。しかしながら今後は服薬指導や疑義照会上の間違い等により訴えられて裁判でその過失責任を争うことも多くなることが考えられます。

安全管理のためは、再発防止策の策定、情報共有、教育の3つの基本を、組織として行うことが欠かせません。しかし、この3つがバランスよく実施されているケースは少なく、また行われていたとしても決して十分ではありません。

一番問題なのは、薬剤師に対する安全教育が不足していることです。これは医薬品企業等では安全管理の専門家がいますが、薬局では専任の担当者を置いているケースは少ないためと思われます。大病院でようやく専任の担当者を置きはじめたという状況です。


リスクマネジメント(RM)には、コミュニケーションが非常に重要です。医師やほかの薬剤師、そして患者とのコミュニケーションが、薬剤師には求められています。1人薬剤師の薬局でない限り、最初から最後まで1人で調剤業務を行うとことは普通ありません。

極端な例では、薬剤師間の仲が悪く、口もろくに聞かない、ということもあります。その結果、伝えるべき情報が伝わらないことによって、事故・ミスが起こる。これは問題です。必要なことはきちんと伝えるというコミュニケーションが職場になければ、何をやっても意味がありません。

また、エラーや事故など、健康被害が生じるようなアクシデントが起こる確率は、けっしてゼロにはなりません。患者と薬剤師の関係で見てみますと、このアクシデントに対し、どう対処するかだと思います。薬局としては、誠意を持って謝罪しなければならない。でも普通は、謝って済むことではないわけです。

普段のコミュニケーションがきちんととられていれば、何か起こった際も、「わかりました。じゃあ、どう対処してくれるのですか?」ということになります。そのためにも、普段から患者と良好なコミュニケーションをとっておくことが重要となります。

話し合いの結果、ようやく示談ということになりますが、普段からコミュニケーションが悪ければ、「マスコミに話す」、「裁判所に訴える」ということになります。日頃の関係が良ければ、不幸にしてアクシデントがおきても、円満な解決につながることになります。すべては人の間で動いているのが、医療ということです。

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