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教 育
専門薬剤師制度の方向性と、緩和ケアへの取り組み
-済生会横浜市南部病院 薬剤部長 加賀谷 肇 先生
専門薬剤師の養成が進むなか、薬剤師の立場で緩和ケアに取り組む、済生会横浜市南部病院の薬剤部長である加賀谷肇先生にお話を伺いました。
専門薬剤師の養成
今年4月にがん対策基本法が施行されます。予防、治療、緩和ケアの各ステージにおいてより進んだ対応が必要となってきます。薬剤師も、医療を担う立場から対応を考えていかなければなりません。
日本病院薬剤師会の専門薬剤師養成事業は感染制御からスタートしました。最初の認定試験が05年に行われこれまで(07年3月現在)52名の感染制御専門薬剤師が誕生しております。一方、がん専門薬剤師の養成については、8項目に及ぶ高いハードルですが、39名が認定されました。また、がん専門薬剤師養成のための研修事業が厚生労働省の肝いり06年から始まり、5年間で全国に1,500人に実技研修修了者を作る計画になっています。
感染制御、がん領域に続き、栄養管理、HIV、精神科領域の専門薬剤師の養成が検討されております。
がん専門薬剤師の活動
がん専門薬剤師としての実際に活動は、がん化学療法(oncology)から緩和ケア(palliative care)まで及びます。チームとしてがん診療に加わっていくのが基本ですが、薬剤師としてはプロトコールの作成や運用に携わることが多くなります。
プロトコールは各科より薬剤部に提出され、化学療法検討委員会で審議され、承認されたものが登録され、このプロセスに薬剤師は多いに関わります。現在は外科、内科、婦人科、脳外科、泌尿器領域などプロトコールが運用されており、抗がん剤のミキシングは薬剤師が外来点滴室に設置された安全キャビネットで行ない、ベッドサイドで患者への服薬指導等も対応をしています。
また、院内に現在100種類程度のパスがあります。化学療法についてもパスに基づいて薬剤師が携わっていくことが多くなりました。外来でのミキシングもチームでローテートしながら行ないます。オーダーがプロトコール通りかなどもチェックします。院内のがん化学療法検討委員会がガイドラインを作成し、薬剤師も含めチェック体制が整っています。
外来化学療法を予定していても、白血球数が下がっている場合は中止するなど、検査データを治療に生かした活動を行っています。また、体表面積から投与量を算出するプログラムを薬剤部で開発し臨床に供して、投与量が適正かどうかが処方設計上医師の一助となっております。
がんの化学療法においても、薬剤師の活動はハードからソフトまで幅広くなったのではないかと思います。
チームであたる緩和ケア
緩和ケアのチームには、薬剤師3人が関わっています。医師、看護師、薬剤師が週1回回診し、カンファレンスにはソーシャルワーカー、栄養士、医療事務も含めたスタッフにより合同で行なっています。
また、初めて医療用麻薬を使用する人には、処方医の依頼によって薬剤師から説明をする場面もよくあります。この場合は、外来患者は、薬剤部の患者指導室で服薬指導を行います。
悪性新生物(がん)が死亡原因の第1位を占める昨今、緩和ケアのニーズは益々高くなると考えられます。緩和ケアチームでは、毎週1回すべての病棟を回り、緩和ケアチームのサポートが必要な患者がいないか調べています。
潜在的には緩和ケアを必要とする患者なのに患者が我慢していたり、医療者が見過ごしたりと、急激には進展しないのがこの領域の難しいところです。それは麻薬に対する誤解や偏見がまだ残っていることが大きな要因と思います。敢えて医療用麻薬ということばを用いているのは、計画的に増量された医療用麻薬では中毒になることはなく、安全に用いることができることを患者さんに受け入れやすくする目的もあります。
在宅医療は保険薬局薬剤師の活躍の場
当院ではがん化学療法領域に限らず、チーム医療をさまざまな場面で行なっています。緩和ケア、感染制御、栄養・褥瘡管理、TDM、糖尿病などが主なものです。
緩和ケアと関連が深いのは在宅医療です。わが国の国民の2人に1人ががんに罹る時代となった現在、今後は在宅療養を希望される患者さんも増えると思われます。在宅医療を希望される患者さんで、緩和ケアを必要とするケースは益々多くなっていくと思われます。
薬剤師は、在宅医療にもっと積極的に関わってほしいと願います。患者さんの自宅にお訪ねしてみると、病院や薬局の窓口対応の不十分さを思い知らされることがあります。
患者さんの日常の中に入っていくことが在宅医療です。そのためには、高いコミュニケーションスキルを身につける必要があると思います。コミュニケーションスキルを支えるのが、使命感ではないかと思います。薬剤師は使命感が足りないという声もありますが、決してそうではないと思います。
ぜひ、緩和ケアに携わるという観点から、薬局の薬剤師の方々も「在宅」の領域に入っていってがんの痛みで苦しむ患者さんを痛みから解放してほしいと思います。
